スピーチ32012年06月25日 00時40分21秒

最近は環境問題などで再生可能なエネルギーによる発電が注目されています。
岡山県でもメガソーラー施設が計画されているように、とくに太陽光を利用したものが有名ですが、太陽光による発電方法は太陽電池以外にもいろいろあります。

そのひとつがソーラーチムニーです。
その原理は簡単に言うと、太陽熱によって暖められた空気の上昇による気流の風力を利用し、タワー内のタービンを回して発電するということになります。

構造は一言で言うと、温室に煙突をつけたものです。
中央部に向け少しずつ高くなっていく円形の温室をもち、内部の空気は太陽光によって暖められて膨張し、軽くなった空気が屋根に沿うかたちで上昇する際に中央の煙突から上空に排出されます。この時の気流を煙突内のタービンが受けて回転し発電が行われます。

このとき真ん中にある煙突がミソになります。
煙突効果というのがあって熱した空気が煙突内を上昇する時、煙突下部で吸い込む力が発生します。太陽熱や温室の気体上昇の力は大したことはないのですが、それによって起きるこの煙突効果で莫大な力を発生させます。
真ん中の煙突は効率を上げるため高く、太くします。
さらに図のThermal Strageの部分のように昼蓄えた熱により夜間発電することも可能です。
この方式の長所として、夜間は発電できない太陽光発電や風のない日に発電できない風力発電のような「持続しない」発電とは違い常に電力が供給できます。また、石炭火力発電や原子力発電は大量の水を必要とし、太陽光発電パネルも、発電効率を維持するためには頻繁に洗浄する必要があるのに対し水を消費する必要もありません。
一方問題点としては発電できるといっても夜間の発電量は下がってしまいますし、大規模な施設となるため日本にはあまり向いていないかもしれません。

オーストラリアの再生エネルギー企業エンバイロミッションが32基のタービンを備え高さ800メートル弱のタワーを持つこのマイナーな発電施設を米アリゾナ砂漠に建設することを計画中とのことです。

エンバイロミッションは、最大200メガワットの発電できるといいます。これは、10万世帯をまかなえるだけの規模です。
専門家の中には”全く稼働しないということもないと思う。しかし、200メガワットという発電能力はピーク時にもかなり難しいのではないだろうか”という人もいます。実際にはどうなるのかはわかりませんが、既存の発電方式に頼れなくなってきている昨今ではこうしたあまり知られていない方法もどんどん試していくのは重要なことだと思います。


スピーチ22012年04月20日 07時18分43秒


少し前に盛んに報道されていたので、日本の宇宙探査機として一番有名なのは”はやぶさ”ではないかと思います。
これはその波乱万丈なミッションが人気を博したものと思われますが、
それとは逆に現在順調すぎて余り有名にならなかった探査機があります。小型セーラー電力セイル実証機「IKAROS」です。
ikaros1



これはその名のとおり一辺30m弱の正方形の薄膜太陽電池のセイルを持ち、
そこに太陽光を受けて発電した電力によりイオンエンジンを動かすと同時に光圧をも利用するというものです。

IKAROSは、2010年5月21日H-IIAで打ち上げられ、惑星間軌道上でソーラー電力セイルを展開。

6月9日に世界で初めて膜面の展開に成功し、翌日には薄膜太陽電池による太陽光発電を実現。
その後、分離カメラでIKAROSと膜面全体を撮像する実験も2回実施し成功しています。
惑星間軌道上を航海するIKAROSの写真を100枚近く撮像することができました。
写真はそのときのものです


膜面展開後、約半年間かけて太陽光を受けて加速していることを軌道データから確認し、
太陽に対する膜面の方向を調整して軌道制御を実現して、ソーラーセイルによる航行技術を獲得。

12月8日には金星から約8万kmの地点をフライバイしました。

本体から膜面を確認するためのモニタカメラを使って、金星を撮像することができました。




2010年12月に当初予定していた実験を無事に終え、現在も運用を継続し、宇宙ヨットを操る技術を高めています。


今後の発展として2010年代後半に計画されているソーラー電力セイル探査機では、高性能イオンエンジンを搭載します。
直径50m級の膜面による光子加速と組み合わせて、木星およびトロヤ群小惑星を探査します。
ソーラーセイルについては、米国・欧州でもミッションを検討中ですが、日本が先行しています。
また、薄膜太陽電池については、宇宙太陽光発電の電池開発の先駆けであり、商業利用や地球環境に貢献します。





スピーチ2012年02月29日 22時04分05秒

ここ日本でも、寒い日々が続いていていますが、ヨーロッパでは 路上や暖房のない家での凍死者がでたり 空港や道路が使えなくなるような大寒波が広範囲にわたり一週間近く続いています。 これは最近のことに限らず、北半球の降雪量は過去二年間増加の傾向にあるそうです。 これは北極の海氷が解けたことが原因である可能性があると言う論文が発表されました。 米ジョージア工科大学主導の米中共同研究チームによると、  北極海の海氷面積は2007年、観測史上最小を記録。 一方で米国北部をはじめ、欧州北西部および中央部、さらには中国北部および中央部など、広い範囲で降雪量が平年を上回る。 北半球の降雪量は2009~2010年と2010~2011年の冬、それぞれ観測史上2番目と3番目に多かった。 などのデータが出ています。  研究グループは、海氷融解によって大気中の水分が増え、例年は冷気を北に追いやる気流および西向きの風に影響を与え、 冷気が通常より中・低緯度の地域に多く流れ込んで、欧州や米国北東部・中西部の大雪につながったと考えています。