スピーチ2 ― 2012年04月20日 07時18分43秒
少し前に盛んに報道されていたので、日本の宇宙探査機として一番有名なのは”はやぶさ”ではないかと思います。
これはその波乱万丈なミッションが人気を博したものと思われますが、
それとは逆に現在順調すぎて余り有名にならなかった探査機があります。小型セーラー電力セイル実証機「IKAROS」です。
これはその波乱万丈なミッションが人気を博したものと思われますが、
それとは逆に現在順調すぎて余り有名にならなかった探査機があります。小型セーラー電力セイル実証機「IKAROS」です。

これはその名のとおり一辺30m弱の正方形の薄膜太陽電池のセイルを持ち、
そこに太陽光を受けて発電した電力によりイオンエンジンを動かすと同時に光圧をも利用するというものです。

IKAROSは、2010年5月21日H-IIAで打ち上げられ、惑星間軌道上でソーラー電力セイルを展開。
6月9日に世界で初めて膜面の展開に成功し、翌日には薄膜太陽電池による太陽光発電を実現。
その後、分離カメラでIKAROSと膜面全体を撮像する実験も2回実施し成功しています。
惑星間軌道上を航海するIKAROSの写真を100枚近く撮像することができました。
写真はそのときのものです

膜面展開後、約半年間かけて太陽光を受けて加速していることを軌道データから確認し、
太陽に対する膜面の方向を調整して軌道制御を実現して、ソーラーセイルによる航行技術を獲得。

12月8日には金星から約8万kmの地点をフライバイしました。
本体から膜面を確認するためのモニタカメラを使って、金星を撮像することができました。

2010年12月に当初予定していた実験を無事に終え、現在も運用を継続し、宇宙ヨットを操る技術を高めています。
今後の発展として2010年代後半に計画されているソーラー電力セイル探査機では、高性能イオンエンジンを搭載します。
直径50m級の膜面による光子加速と組み合わせて、木星およびトロヤ群小惑星を探査します。
ソーラーセイルについては、米国・欧州でもミッションを検討中ですが、日本が先行しています。
また、薄膜太陽電池については、宇宙太陽光発電の電池開発の先駆けであり、商業利用や地球環境に貢献します。

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